いつ頃解決しますか??

こんにちは。
今日はこの質問にお答えしたいと思います。
法律相談をされる方や事件をご依頼いただいた方から、よく受ける質問の1つです。

ズバリ、答えは、、、
ケースバイケースです。

全く答えになっていませんでした。ごめんなさい。
それはそうですよね。

ただ、どれだけ長引くか考えるにあたってはいくつかポイントがあるので、そのポイントを以下に示したいと思います。
基本的な考え方はすべての分野に共通していますが、とりあえず離婚事件で離婚請求をしたい方を例にして説明します。

①相手方の出方

まず、離婚事件においては、相手方が離婚やむなしと思ってくれて、離婚ありきで話し合いが進められる場合には早期解決ができます。条件次第という場合でも、その要望が当方が沿えそうなものなのであれば、早期解決ができます。こういう場合は、裁判所を利用しなくていいということですから、多くの場合は受任いただいてから1か月以内に解決ができます。

②裁判所を利用する必要があるか

相手方が離婚をよしとせず、もしくは相手方が離婚に応じる条件として提示してきているものが過大な場合には、裁判所に調停を申し立てざるをえず、その分解決が遅くなります。
調停は申立てから約1か月後に期日が入り、その後はだいたい1か月に1度のペースで進んでいきます。8月は裁判所が夏休みなので、期日が入らないので、8月が調停の期間に重なると調停が2か月に1回になってしまうので、その分解決が遅くなります。

そして、解決の早さは、その1か月に1回の調停で、どれだけ早く離婚条件を煮詰めることができるかということになります。
離婚したいのと離婚したくないのの平行線なら、次のステップである裁判にもちこまないといけませんから、その分解決は遅くなります。

③裁判になった場合、争点が明確か、争点についての強い推認力の証拠があるか、その争点についてその事実があったら直接婚姻関係の破たんがあったといえるか

裁判をせざるを得なくなってしまったら、その分解決が遅くなります。

まず、協議や調停で終わるならば、離婚原因(不貞など)についての厳格な立証は必要ありませんから、弁護士の準備の手間も大したものではありません。しかし、裁判においては、「法律上の離婚原因があるかないか」ですから、証拠を準備したりしっかりした訴状や準備書面を書いたりで、手間がものすごくかかります。ですから、弁護士もそれだけ準備の時間をもらわなくてはいけないので、まず提訴までに早くて1か月程度はもらわないといけません。その分解決は遅くなります。

その後、1か月に1回の裁判で、今回は当方が準備書面を作成する回、次回は先方が準備書面を作成する回といったように、双方が主張を出尽くしたと裁判所が考えるまで裁判が続いていきます。

そうすると、「双方主張が出尽くした」かどうかがどれくらいの期間で解決できるかの重要なポイントとなりそうですが、「双方主張が出尽くした」といえるためには(1)争点を明らかにして(2)争点について強い証拠があるかないかがポイントです。

たとえば、相手配偶者の暴力を理由に離婚をしたい場合には、(1)争点も明らかですし、(2)暴力の際の録音録画やけがの診断書があれば、相手方配偶者の暴力は立証されるわけですし、(3)普通は相手方配偶者から暴力があったら婚姻関係は継続できないですから、比較的解決は早いです。

でも、相手方配偶者のモラハラなどを理由に離婚したい場合、(1)まず相手方のどの行為を問題にしたいのか主張が困難ですし(2)問題となる行為が特定できても相手方配偶者がその行為をしたかという点を立証することが困難でしょうし(たとえば、暴言を毎回録音している人はあんまりいないでしょう。事実の立証の問題。)、(3)仮にモラハラ行為があったとしても、その行為があったからといって必ずしも婚姻関係の継続が困難とは言えないでしょう(たとえば、暴言は受け取る方の受け取り方もあるでしょうし、相手方のささいな行動も長い間生活していれば我慢もやむをえないこともあるでしょう。法的評価の問題。)。ですから、こういう場合は、解決がその分遅くなります。

④お互いが妥協しやすいポイントが争点か

①とも関係するかもしれませんが、例えば、お金で解決できそうなものはお互い妥協ができますから、早く解決しやすいです。例えば、財産分与や慰謝料など。

他方で、お金に代えられないものが争点の場合には、お互い譲りませんから、その分解決が遅くなります。例えば、未成年者の親権など。

⑤双方代理人が就任しているか

裁判になったらご自分で訴訟追行されるのは不可能なので、ほとんどのケースで双方とも代理人を就けると思いますが、協議や調停までの段階では弁護士をつけないで活動される方ももちろんいます。当然ですが、弁護士に依頼すると、どの弁護士さんでも決して安くはない費用がかかりますから、お気持ちはわかります。

離婚事件で弁護士を代理人にすることのメリットは、法的な知見や交渉術で依頼者を有利な方向に持っていくというプロフェッショナル的なところもありますが(この点について、「自分はちゃんと調べているから弁護士と対等に戦えるんだ!」とか「自分は口が達者だから、弁護士と…(以下略)」などと誤解されている方がたまにいます。そういう方が相手方になると、プロ的な視点で言えば、通る話も通らなくなったり無用な手間も増えてすごく面倒ですから、解決は遅くなります・笑)、代理人という立場そのものから享受できることもあると思うのです。

もっと掘り下げると、自分のことは第三者的に見れませんから冷静さや精細さを欠きます。それが普通です。でも、代理人がいれば、代理人は自分のことではなくて他人のことですから冷静な判断ができ、一方当事者の味方ではあるけれど第三者的な目線で考えられる人が関与して、一歩引いた解決方法ができるから、その分解決は早くなります。

自分のことだと何もかも相手に伝えたくなるけど、それでは話し合いでの解決なんてできません。でも、譲れないところと譲れるところの取捨選択をしていけば、紛争は自ずとすっきりしてきて、解決が早くなります。その取捨選択を促すのが代理人です。

あと、調停や裁判になっている場合でも、代理人がいたら代理人間で交渉ができますから、1か月に1度と言うスパンに関わらず事件を進めることができます。

こういうポイントを踏まえて、弁護士はだいたい解決がどれくらいになるのか予測しているわけです。

補足で、弁護士をつけるということについて述べます。
まず、裁判になっている場合には、素人が訴訟追行をするのは不可能ですから、負けて良い事件以外なら弁護士に依頼しましょう。そして、協議や調停でも、相手に弁護士がついているなら、負けてよいと思っていないなら、弁護士を付けたほうがいいと思います。

問題は、それ以外の部分です(上に述べた部分は問題にはなりません)。これは依頼者の考え方によると思います。なので、受任する側からの感覚を述べさせていただくと、当事務所は離婚事件はどの段階からでも着手金一律30万円なので裁判からの方が手間が少なくて済むので、正直なことを言うと私は裁判から依頼していただいた方がうれしいです(笑)。でも、裁判からだと、どういうことが争いになっていて、相手がどのようなポイントを重視しているのかを把握するのが難しいので、圧倒的に少なくとも調停の段階からかかわっていた方が事件が進めやすいです。確かに、調停に同席するのは時間もとられますし弁護士業務にとってはそれ自体では効率の悪いことかもしれませんが、事件の流れを把握できることのメリットは私はかなり大きいです。そして、たまにですが、弁護士が受任通知を送ったとたんに相手の態度が軟化して、本人からの離婚請求は全くダメだったけど弁護士からの離婚請求には応じて、即離婚成立ということが結構あります(10件のご依頼で2件から3件くらい)。

今回は離婚事件を例に述べましたが、基本的にはどの分野の事件も考え方は同じです。
以上述べたようなポイントをもとに、事件の解決の見込みも述べますので、法律相談は何でも当事務所までご相談ください。